株式会社同位体研究所

4元素の安定同位体比が示すもの

炭素同位体

植物の炭素同位体比は、空気中の二酸化炭素を光合成により植物体内に取り込む際の光合成の回路により決まります。 陸上植物の多くはC3植物といわれ、炭素安定同位体比は、平均でー27‰(—30〜—25‰程度)です。 一方、サトウキビや、トウモロコシなど乾燥、高温の環境で生育するイネ科植物は、C4植物といわれC3植物と光合成回路が異なります。このような植物は高温・乾燥地域に多く生育します。 C4植物の炭素安定同位体比は、平均—12‰(—15〜—10‰程度)です。 (C3,C4植物以外にCAM植物といわれるものもありますが、このCAM植物はC3とC4の中間の値を持ちます。 CAM植物で身近なものではパイナップルなどがあります)

水生植物は、陸上植物と異なる安定同位体比を持ち、沖合の浮遊プランクトンでー25〜—20‰程度、沿岸の付着藻類は、—10‰程度です。

炭素安定同位体比は、食性・生育環境の厳しさの履歴
炭素同位体比は、動物の食物の履歴として重要です。 例えば牛や、家畜動物が食べた餌(牧草、穀物飼料等)は、動物の組織を構成する分子に取り込まれます。 このため、動物の組織の炭素安定同位体比は、食性を示す重要なものです。 炭素同位対比を分析すれば例えば糖類の由来(異性化糖か、はちみつ等のC3植物由来の糖かといった由来の違い)や動物の飼料(トウモロコシか、牧草か)の履歴などが明らかになります。 また同じC3植物でも生育状況での環境ストレスによる差が認められ、生育地域の特徴ともなります。

窒素同位体

窒素安定同位体比(δ15N)は、土壌の窒素分の由来により異なります。 野生状態で、雨水や植物の空気中の窒素固定(豆など)由来の窒素が主体の場合、土壌の窒素安定同位体比は、空気中の窒素安定同位体比と大きく異なりません。 従って、空気中の窒素を標準物質とした場合、土壌の窒素安定同位体比は、ゼロに近くなります。 慣行農法において使用される化学肥料の場合も、化学肥料中の窒素は、大気中の窒素を使用していますので、化学肥料を用いた土壌の窒素安定同位体比の値も同様にゼロ‰に近くなります。,C4植物以外にCAM植物といわれるものもありますが、このCAM植物はC3とC4の中間の値を持ちます。 CAM植物で身近なものではパイナップルなどがあります)

一方、堆肥などの有機質が土壌の窒素源である場合には、動物の食物連鎖の過程で窒素同位体は濃縮され、δ15Nの値は大きくなります。 完熟堆肥などでは、+20‰程度を示します。

窒素安定同位体比は、窒素源の由来
窒素安定同位体は、土壌中の窒素の由来を示します。 そこで植物の窒素安定同位体比は、土壌窒素の由来を示す指標となります。 この為、農法の判別などには有効な指標となります。 ただし、根粒菌などの空気中の窒素を固定する細菌を有するマメ科植物の場合は、窒素源は、空気中の窒素と土壌中の窒素の両方に依存します。 この場合、空気中の窒素固定による窒素同位体比は、大気と同じという事になりますから、有機肥料などの影響は受けにくくなるので、注意が必要です。

酸素・水素同位体

酸素・水素の安定同位体比は、産地や原産国といった地理的要因を分析する上で非常に重要です。 水素安定同位体比は、自然界でも非常に変動が大きく、雨水の水素安定同位体比は、—10〜—400‰あります。また酸素安定同位体比は、水素安定同位体比と強い相関関係があります。,C4植物以外にCAM植物といわれるものもありますが、このCAM植物はC3とC4の中間の値を持ちます。 CAM植物で身近なものではパイナップルなどがあります)

水が蒸発する時には、軽い安定同位体から気化し、残った水には、重い安定同位体が多い。 逆に雨が降る場合には、重い安定同位体が先に凝固する。 気温が高いほど安定同位体比はプラスになります。 酸素、水素安定同位体比については、世界各位の降水、河川、湖水の分析データがあるほか、日本においても列島全体(中国、韓国の一部を含む)の地表水、浅層地下水の酸素・水素同位体分布も明らかにされています。

酸素・水素安定同位体比は、生育環境・地域の履歴
一方、植物の組織を構成する分子中の酸素は、生成過程で、植物体内の水分子中の酸素が使われます。 つまり、植物の組織中の酸素安定同位体比は、植物が育った環境の水の安定同位体比を引き継ぎます。 このため、同じ植物の品種でも育った地域の水の安定同位体比の特徴が体内に残ります。 動物も同様に飲用水として取り込む環境中の水が体組織の分子に取り込まれます。
このようにして酸素・水素安定同位体比は、地理的要因による差が大きいことから、動植物の生育地域(産地)を知る上で非常に重要な役割を果たします。 

遺伝子・安定同位体比複合分析による
シジミと海苔の産地判別検査受託開始

地理情報・安定同位体比情報・遺伝情報を統合
複合検査による高精度な産地判別が可能に